2011.07.10

復興の音色 水戸室内管弦楽団

大震災による建物損壊のため、水戸芸術館はずっと休館したままでしたが、9日夜、水戸芸術館専属楽団「水戸室内管弦楽団」の定期演奏会が開かれ、芸術館復旧のこけら落としという意味合いのみならず地元水戸や茨城、被災地の復興への心がこめられた感動の演奏会となりました。

母の古稀祝いにと今回の演奏会のチケットを購入しましたが、母も喜んでくれ、また特別の演奏会ということもあり、演奏家や楽団員の皆さんの復興への強い気持が伝わってくるようで、それに呼応するかのような客席との一体感も相俟って、言葉にならない、何かかけがえのないものをいただいたような、そういう気持になりました。

水戸室内管弦楽団(MCO)は、フィレンツェでの演奏中の停電で会場が真暗になっても躊躇せず一糸乱れぬ「奇跡」の演奏を続けるなど、日本はもとより世界有数の室内管弦楽団としてその名を知られていますが、音楽顧問である小澤征爾さんが恩師齋藤秀雄氏から教えられたという「音楽の基本は室内楽」という、その「基本」の素晴らしさを素人である私などにも否が応でもひしひしと伝えてくれる凄みのようなものをこの日の演奏から感じました。

オーケストラでもなく、オペラでもない、室内楽での、しかも指揮者がいない場合の演奏家の皆さんひとりひとりに要求されるものは非常に高度であり、ややもすればひとりびとりが一流であるがゆえに一体となることの難しさがあるようですが、そこを昇華させひとつの藝術がつくりあげられたときの感動は、形容し難いものがあるでしょう。
今回の演奏は、その感動に匹敵するものと感じています。

アンコールのためにピアノが再度セッティングされたときには会場から感嘆の声があがり、しかも協奏曲が演奏されました。
楽団は、9日に続いて10日は水戸と東京にてクラシックとしては異例の一日二公演のチャリティコンサートを実施。
被災地のためなら何でもやるという気持が、心底伝わってきます。

日本の復興も、高い意識を持って、皆がひとつの方向へ共に歩むことで、成し遂げられるのだと教えられたような気がします。
そして震災以前よりも、よりよい日本をつくりあげていかなければなりません。

演奏家や楽団員の皆さん、小澤征爾顧問、MCO総監督の吉田秀和館長他、この日の演奏を届けてくださった皆さんに感謝いたします。

廊主


Program

ピアノ独奏:小菅優さん

J.S.バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV1066

ハイドン:ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-11

シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D485

[アンコール]  モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番第2楽章