2013.01.01

年頭のご挨拶

東日本大震災で、水戸の家の中がめちゃめちゃになる中、私はふと、壁にかけてあった小さな油彩画に目をやりました。

蝋燭の灯を描いた其れは、揺れで傾きながらも、今まで見たこともないような輝きを放ち、私の目を釘付けにさせました。

それは偕楽園の梅花が、地震当時強烈に香ってきたことと軌を一にし、私の心身を叩き起こすかのようでした。

理屈を超えた生命の力。自分は今まで何をやってきたのか。交通機関は寸断され、手の傷は重傷と診断され、為す術も無い自分への腹立たしさ。それに比べてこの絵の炎はどうか。

その瞬間、藝術の役割というものを否応無く思い知らされ、自分が為すべきことを直感しました。

平成十五年に、櫻井陽司の絵との出会いにショックを受け、突き動かされるようにして、ギャルリさわらびを開廊しましたが、あの地震の時、私は再び、櫻井の絵に出会ったのです。

開廊から十年。ただ、微力を尽くすのみです。

本年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

皆様にとって、かがやきある御年でありますように。

     平成二十五年元旦     ギャルリさわらび 廊主